顎変形症の治療を考え始めたとき、多くの人が最初にぶつかるのが「お金の不安」ではないでしょうか。
ネットで調べると「保険が使える」「数十万円くらい」「高額療養費で戻ってくる」といった情報は出てきます。でも、実際に何にいくら払って、いつお金が必要になって、最終的にいくら手元から出ていくのか。そこまで具体的に書かれた情報は、なかなか見つかりません。
私自身も、治療を始める前は、何年続くかわからない治療と手術にもいくらかかるのかわからず不安でした。
矯正、手術、入院と治療の段階が多く、期間も長い。しかも病院によって説明の仕方もまちまちです。「結局、自分の場合はいくら用意すればいいの?」という疑問に、誰もはっきり答えてくれない。この不安のせいで、治療に踏み出すのをためらっている人もいると思います。
この記事では、現在治療中の私が、これまでに支払った費用を項目ごとに記録した内容と、費用を抑えるために使える制度をまとめました。読み終わるころには、自分の治療にかかるお金の見通しを立て、今日から準備を始められるようになっているはずです。
なぜ顎変形症の費用はわかりにくいのか
費用が見えにくい理由は、大きく3つあります。
理由1:支払いが「何年にもわたって」「何か所にも」分かれる
顎変形症の治療は、一般的に「術前矯正 → 手術・入院 → 術後矯正 → 保定」という流れで進みます。期間は年単位になることが多く、その間ずっと少しずつ支払いが続きます。
さらに、矯正は矯正歯科、手術は病院の口腔外科と、支払い先が分かれるケースも多いです。一枚の見積書に全部がまとまっていないため、全体像がつかみにくいのです。
私の場合は、手術をするための病院と連携している矯正歯科、2つの病院に通っていて、治療開始から約1年3ヶ月、2ヶ月後にはいう状況です。
理由2:保険が使えるかどうかに「条件」がある
顎変形症の矯正治療は、外科手術を伴う場合に健康保険が適用されます。ただし、どこの矯正歯科でもいいわけではなく、国の基準を満たした施設(「顎口腔機能診断施設」として届け出ている矯正歯科など)で診断・治療を受ける必要があります。
同じ治療内容でも、通う医院によっては保険が使えず、全額自己負担になる可能性があるということです。この違いを知らないまま医院を選ぶと、費用が大きく変わってしまいます。
理由3:保険が効かない「見えない出費」がある
医療費そのもの以外にも、お金は出ていきます。たとえば通院の交通費、入院中の食事代や差額ベッド代、術後にやわらかい食事を用意するための食費、仕事を休んだ分の収入減などです。
これらは病院の説明にはほとんど出てきませんが、実際の家計にはしっかり響きます。
解決策:私の支払い記録と、使える制度
ここからは、私が実際に払った金額と、費用を抑えるために知っておきたい制度を紹介します。
私が支払った費用の内訳(治療中のため随時更新)
以下は、私がこれまでに支払った費用です。
初診〜精密検査・診断
¥50,000
術前矯正
月に一度¥6,000〜7,000
手術・入院
見積もり段階
保険外の出費
おやしらずを抜歯した時のテルプラグ¥6,000
現時点での合計
¥174,800
費用は住んでいる地域、医療機関、治療内容、入院日数などによって大きく変わります。あくまで一例として、ご自身の予算を考える材料にしてください。
制度1:高額療養費制度
手術・入院の月は医療費が高額になりますが、高額療養費制度を使えば、1か月(1日〜末日)の自己負担額に上限が設けられます。上限は年齢と所得によって決まり、たとえば69歳以下で年収約370万〜770万円の区分なら、月8万円台が目安です。
ポイントは次の3つです。
1つ目は、事前に手続きしておくと窓口での支払いを上限額までに抑えられること。「限度額適用認定証」を申請するか、マイナ保険証を使えば、あとから払い戻しを待たずにすみます。
2つ目は、上限は「月ごと」に計算されること。入院が月をまたぐと、それぞれの月で上限まで払う可能性があります。手術日を選べる場合は、病院に相談してみる価値があります。
3つ目は、入院中の食事代や差額ベッド代は対象外であることです。
また、加入している健康保険組合によっては「付加給付」があり、自己負担がさらに少なくなる場合があります。
私はマイナ保険証を使っていて、窓口での支払いは上限額までになる予定です。
制度2:医療費控除
1年間(1月〜12月)に支払った医療費が、原則10万円(所得が200万円未満の人は所得の5%)を超えた場合、確定申告で税金の一部が戻ってきます。
顎変形症の治療費は、この対象になりやすいです。さらに、通院のための電車・バス代も対象になります(原則、マイカーのガソリン代や駐車場代は対象外)。家族の医療費も合算できるので、世帯でまとめて申告すると有利になることがあります。
私は医療費控除を申告する予定です。
制度3:民間の医療保険
医療保険に加入している場合、手術給付金や入院給付金が出ることがあります。顎変形症の手術が対象になるかは保険会社や契約内容によって違うので、約款を確認するか、保険会社に直接問い合わせてみてください。
私は共済に加入しているので、保障内容を確認してみようと思います。
なお、これから保険に入る場合は、加入前の告知内容や、すでに診断を受けているかどうかによって給付の対象外になることもあります。自己判断せず、保険会社に確認しましょう。
今日からできること
最後に、この記事を読んだ今日から始められることを4つ紹介します。
1. 通っている(通う予定の)医院が保険適用の施設か確認する
医院のホームページで「顎口腔機能診断施設」などの記載を探すか、電話で「顎変形症の保険診療に対応していますか」と聞いてみてください。
2. 領収書を1か所にまとめる習慣をつける
クリアファイル1枚でもかまいません。医療費控除のときに必要になりますし、自分がいくら払ったかを把握するだけで不安が小さくなります。交通費は日付・経路・金額をメモしておきましょう。
3. 自分の高額療養費の上限額を調べる
加入している健康保険(会社の健保組合、協会けんぽ、国民健康保険など)のホームページで、所得区分ごとの上限額を確認できます。付加給付の有無もあわせて見ておきましょう。
4. 医療保険の証券を探して、問い合わせ先を控えておく
手術が決まってから慌てないよう、今のうちに契約内容を確認しておくと安心です。
私が最初にやっておいてよかったと思うのは、マイナ保険証の登録です。
おわりに
顎変形症の治療費は、確かに安くはありません。でも、制度を知って準備しておけば、実際の負担は想像よりも抑えられる可能性があります。
お金の見通しが立つと、治療そのものに気持ちを向けられるようになります。私も手術の見積もりまで出てきて、少し不安は解消されました。
この記事は治療の進み具合に合わせて更新していく予定です。同じように悩んでいる誰かの参考になればうれしいです。
※制度の内容は変更される場合があります。最新の情報は、加入している健康保険、税務署、各医療機関にご確認ください。また、治療内容や費用は個人差があるため、具体的な判断は主治医にご相談ください。
